伊藤トモの俗・実験室

頑張ってる左手

週間偽クイズ(23/08/09)

Q.古代中国 淵【えん】の皇帝 路襄督【ろ・じょうとく】が炷【しゅ】の皇帝 馬紮【ば・さつ】を打ち破るために敷いた布/陣に由来する、「準備が念入りすぎるために出遅れ、物事を仕損じる」という意味の故事成語は何でしょう?

A.四磊【しらい】の楔【くさび】〈笠岡◯〉
[『The 知力』2021年8月27日放送分]


毎年夏に放送されている芸能人やクイズ王が参加するクイズ番組『The 知力』、第5回となる2021年の回で準決勝に出題され、クイズ王の笠岡篤哉【かさおか・とくや】が決勝進出を決めた問題。
笠岡は制限時間いっぱいを使って解答したが、実は路襄督と馬紮との戦いにおける故事成語は以下のように複数あるため、しっかりと聞き分けなければいけない問題であった。


・中国 炷の皇帝 馬紮が念入りに戦いの準備をしていた淵の皇帝 路襄督を素早い準備で打ち破った故事に由来する、「物事は多少準備不足でも、素早く行動したほうが良い」という意味の故事成語は何でしょう? // 飛鯉【ひり】至らず[畿王杯 2019]
・淵の路襄督が炷の馬紮に大敗したことに由来する、「能力の低い者が指揮すると、能力の高い者も低い能力になってしまう」という意味の故事成語は何でしょう? // 鷹走【ようそう】[悠Q杯 2013]


特に「四磊の楔」と「鷹走」とはいずれも路襄督側に由来するため、作問者が良くない場合(または意図的にそうしている場合)前フリだけでは判別できない。今回の『The 知力』では前フリでしっかりと判別できるようになっていた。(このあたりは、なるべく前フリで答えてほしいテレビ側の意向であろう。)
ただしこの辺りの故事成語は短文基本を謳う大会では出題されることは少なく、どちらかといえば世界史として出題されることが多い。


・最大版図を築いた先代 堯苑【ぎょうえん】の遺産で遊び呆けていたため、戦いに慣れておらず、皇帝になって半年後の西暦504年に賈山【かざん】の戦いで炷の馬紮に敗れ、淵 最後の皇帝となったのは誰でしょう? // 路襄督[Tanbun Japan 2020]
・貴重な植生と現在も残る炷の遺構とから世界複合遺産にも認定されている、西暦504年にここで炷の馬紮が淵の路襄督らを破り山城を築いた、中国 溝廊【こうろう】省東部の山は何でしょう? // 賈山【かざん】[Last Years 2018]


ただし、もう少し上位の大会になると、少し故事成語寄りに掘り下げた問題も見られるようになる。


・西暦504年の賈山の戦いで淵の路襄督が敷いた「四磊の楔」において、炷を囲んだ4人の皇帝とは、東側の豈碌賀【がい・ろくが】、南側の捌朋玄【べつ・ほうげん】、西側の昭羲陟【しょう・ぎちょく】と北側の誰でしょう? // 洒烈【しゃ・れつ】[ELITE 2018]
・「素話【そわ】なくして飾語【しょくご】なし」や「未腫穿つ」などの故事成語の由来になっている、古代中国の北遊【ほくゆう】の一つ 浬【り】の最盛期を作り上げ、西暦504年の賈山の戦いにおける四磊の楔では炷の北側を任されたのは誰でしょう? // 洒烈[δ-delta- 2021]
・遺産で遊び呆けていたという古代中国 淵の皇帝 路襄督が頻繁に行なっていたという宴に由来する、「非常に淫らな宴」を意味する四字熟語は何でしょう? // 妙波婦海[Δ-DELTA- 2021]


以上のように、路襄督周りは故事成語を初めとして様々な問題が見られるので、答えるには大会の難易度を考えるメタ的な視点も必要かもしれない。とはいえ、どこかの大会で出題されるにつれ基本問題化していくので、今後、よりしっかりと聞いて確定ポイントを嗅ぎつけることが必要になってくるはずだ。